2024/10/16 13:20
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第 2 回目の今回は、京都府亀岡市にて使われなくなったパラグライダーからバッグなどを生み出して HOZUBAG(ホズバック)に所属 している武田幸子さんとお話ししました。
大学時代の先輩でもあり、FooTURE オンラインストア内にもプロダクトを展開させていただくということで色々お話しました!
HOZUBAGの成り立ち
FooTURE(以下、F) 今日はよろしくお願いします。
武田幸子(以下、T) えー、何から話そうかな。
F 最初に自己紹介をお願いします。
T 私は亀岡市に住んでいる武田幸子といいます。亀岡に HOZUBAG を作る工場があってそこの運営担当をしています。
F HOZUBAG の成り立ち聞いてもいいですか?
T もともと「かめおか霧の芸術祭」って言うのを亀岡市でやり始めて、私もそのメンバーの中に入っててん。
F 芸術祭で、しかも行政絡みの取り組みだったんですね。
T そう。亀岡市ってプラスチックのレジ袋を禁止したりとか、環境問題に特化した取り組みを結構やってて。その時に、亀岡市のアイデアとしてオリジナルデザインをプリントしたエコバッグを配りたいって相談があって。だけど、みんなめっちゃ持ってるやん。
F 資料とか入れて配るやつね
T それは嫌やなーって話になって。家の中の箪笥の肥やしになるやん。そうじゃないものを作ろうって辰巳くんと、松井先生と、亀岡市の担当の人と話してたの。いらん素材は世の中にいっぱいあるから、使われてない素材を活用するアイデアは出てたけど、何の素材にするかは悶々とみんなで考えてて。 そこで、急に商品を作るんじゃなくてワークショップをスタートにできればいいなとイメージしてたんやけど、シアタープロダクツの武内さんが昔、Tシャツをつなぎ合わせてテントみたいなのを作って、そのテントからTシャツを剥がして着てもいいみたいなインスタレーションをしてて、そんなワークショップどうかなって思って連絡してみて HOZUBAG チームができたって感じ。
F そこでシアタープロダクツが出てくるんですね。
T パラグライダーの案は松井先生やねん。亀岡の空にパラグライダーが飛んでるの見て「あれ、いけんちゅう?」ってなって。で、パラグライダーが素材としておもしろくて。武内さんもいるし、亀岡市の職員のテンションも高くて、どんどんやる気になって。
F 全員がやる気になった?
T そう、いける!いける!ってなって
F そう言う時すごい気持ちよさそう。トントントンと
T だけど、その時私、担当してないねん。最初のネタ出しだけ参加してて、その頃は「KIRI CAFE」で店長としてカレー作ってたから。それで、やるぞってなって工場作る話になった時に、声かけてもらって。KIRI CAFEの空いてる時間に工場やってって話だったかな。だけど、 両方やることは無理ってなって今年から工場だけになった
F そりゃ、制作と出荷やって店長は無理ですよね・・・
T 意外に忙しいよね。例えば出荷って大変。
F わかります。見た目綺麗にしないとだし
T あと、ちょうどいい段ボール探すの大変。オンラオンショップは専用の箱があるけど、再利用の段ボールばっかり。良いサイズの 段ボール決めるの大変。
F 段ボール意外と高いですしね。野菜とかの段ボールのプリントって可愛いですよね。あの感じたまんないです。
T あれ可愛いよね。あれは、スタンプ見たいな版だったと思う。フレキソ印刷ってやつかな。話を戻すと、ホズバッグの制作、製造 担当をメインで工場を回してます。
F 工場長?
T そう、工場長やな。普通に楽しい。
F ひたすら作ってるって感じですか?サッピーさんの1日が気になりました。
T 昨日は、工場が9時からスタートで11時くらいまでみんなと一緒にミシンを踏んでいて、11時から12時半くらいまでミーティングして、そのあとはオンラインの撮影をして、15時からまたミーティングして、出荷の作業があることに気づいてバタついて発送して昨日は終わり。
F 何時くらいまで働いてます?
T ヤマトの出荷に合わせて終わるから19時くらいかな?
F めちゃくちゃ健康的な生活してますね。あ、改めて取扱させていただきありがとうございます。
T こちらこそ。
HOZUBAG✖️FooTURE別注アイテムを作るなら・・・
F それで、最初話した時、何か別注ではないけどオリジナルのモノ作ろうって話してたじゃないですか。そのあと色々考えて、ちょうどブルータス見てたら凧になるTシャツ作ってる人がいて。
T めっちゃいいやん。
F この人なんすけど。williamellery ってブランドの人みたい
T めっちゃいいやん。最近私も凧みたいなの作ってるんですよ。めっちゃいいやん。やられたー
F 凧が災害時にレスキュー隊に向けてのSOSになるらしいです。
T へー。私ら最近めっちゃ大きいもの作ってて、バッグではなくて祭りで使う大蛇を作ってるんすよ。
F パラグライダーの素材ってなんでもできるんですね。
T そう、何作りたいかな? FooTURE のトラックにカーテンはいらないの?のれんみたいな
F のれん欲しいっすね!風でベラベラベラベラってなりそうですね。
T 下に棒入れれば大丈夫かな。あとなんやろう。
F あのサッカー部が来てるやつあるじゃないですか。トレーニング用の
T 裾がゴムになってるやつね。冬場にあったかいヤッケみたいな。それ可愛いかもセーターの上に着たらいいよね。パラグライダーは風通差ないから。
F それか、パーカー出しても可愛い感じしますよね。
T 良さそう!なんかめっちゃ企画の話してるけどいい?
F 全然大丈夫です。
T パラグライダーの構造上、節がどうしても入ってしまうからそれをどうするかなんだよな。菅原くんはフェスとか好きやん!フェスとかでなんかない?サコッシュとか。
F んー。今年久しぶりにライジング行ったんすよ。あれ、二日間キャンプなんすよ。朝5時のクリープハイプめちゃくちゃ良くて。
T 朝5時までやってんの?
F あれ、朝日が登るまでやるっていう意味でライジングサンなんですよ。それで思ったのが、シューズケースが欲しいです。
T めちゃ良いかも。
F 長靴とか汚れた服とかをくしゃくしゃにして入れれる袋があったら重宝しますね
T それは縛れるといい?
F 縛れるよりもファスナーか、ジップかな
T 巾着として使う?バッグ?
F んー・・・ピザ屋の出前みたいな感じだったり、取手はいらない。旅行バックの中に入れれたら。
T 使う前まではすごいコンパクトになれるやつか
F そうそう!最高です。普通に欲しいです。汗かいたTシャツとかまとめて入れときたい。
T パラグライダーの生地、めっちゃ薄いから良いかも、だけど撥水できる生地とできない生地があるねん。パラグライダーがユーズドだから個体差があって。撥水とか言わずに、汚れたものを入れる袋としてだったらアリかも。
F あー、それって例えば二重にしたら効果変わります?
T 二重、オシャレだと思う。ポケットつけてる感じもいいよね。二重づくりやりたい。私
F あとは、やっぱりキャップですかね。
T 今考えてたのは、内側は全く違う快適な素材にして側だけをパラグライダーにして作ったらいいんじゃないかな。それかコーデュ ロイとナイロンと組み合わせたミックスか。
F どうなんだろう。そこまで機能性持たせなくてもいいかもしれないっすね
T まぁね。ミックスは可愛い気がする。こんな話でいいの?私工場長で、企画じゃないねんんけど。
F 工場長が企画するのは会社も嬉しいんじゃないですか?
T そうでありたいねー。イベントとかに呼ばれてバッグを作るワークショップをやったりとか、そういうのも工場でやってるよ。
F ワークショップって、どいういうことやってますか?
T HOZUBAG を作ってると、どうしても端切れが出てしまうから、それを捨ててしまうとゴミがすごい出るの。生地が可愛いから、それを繋ぎ合わせて大きい生地にして、そこからバッグを作るワークショップとかやってる。ワークショップでお客さんと顔をあわし ながら作ると、パラグライダーの生地のおもしろいところかとかブランドとか工場の背景も伝わっていいなと思って、そういうことも やってる。
ブランドとモノ作りの現場について
F ワークショップも面白そうですけどね。
T ワークショップも面白い。バッグだけ見てたらオシャレで、アップサイクルな要素もあるから意識高い、シュッとしたブランドイメージがあるみたいやけど、亀岡の工場で私たちは本当に日々ワーワーしながら作ってるん。
F 工場に遊びに行った時に、あ、こういう感じなんだって良い意味のギャップは感じました。
T それって温度差がおもろくない?
F 武田さん周りの人たちって生活の延長線上にモノづくりがあって、当たり前にやってる感じがしました。だけど、サイトだけ見たら、ちょっとキラキラした・・・その青山とかめちゃくちゃ山奥の中のすごい丁寧な暮らしをしてそうなイメージはあるかもしれません。
T 澄んだ空気の中でね。けど、生活のまんま作業がある感じ。昨日の嫌なこととか話しながらミシンを踏んでる。
F 良いギャップですよ。
T でもさ、なんか作ってる現場とそこから作られたモノが常にワンセットにならないのはしょうがない気もするけど、作ってる人たちが無関係になってること多いよね。デザインだけが象徴的というか、コンセプトとデザインだけがすごい突出して人に伝わってて、 これを誰かが日々作業してるのって別世界な感じ。
F 難しい問題ですよね。
T HOZUBAGの工場とは違う縫製工場も、同じサコッシュを一日中縫わないといけない日もあるわけよ。私はそんな嫌じゃないタイプなんだけど。
F 黙々とやることが?
T ミシンを黙々と踏む時間も喜びなんやけど。でも私の場合は1週間のうち4日。さらに、会議も出荷もあってずっとじゃないから 楽しいって言えてるけど、ずっとやれる人って結構すごいと思わない?
F すごいですよね。
T なんだろう。その人らがいなかったら成り立たないわけで。ほんまに、1日中縫える人は才能で、これはすごいこと。工場長として思うのは、みんな楽しいかな?って。楽しかったり、良い部分があってほしいやん。
F そうですね。仕事楽しい方がいいもんなー
T ワークショップとか違う仕事をするのも必要だと思うし、違うことができるようになったって言うのも、仕事が楽しい1つな気が する。新しいことを続けられる余裕もあったらいいな。それとは別に、相談しやすかったり失敗した時に、「武田さんなんか失敗してるんすけど。」って言いやすい工場長でいたいな。
F 働くのって難しいですからね。
T そうなんすよ。いろんな可能性を感じて、いろんな選択を悩むわけやん。失敗もするし。
F 僕もたまに会社の工場手伝ってますが、ずっと怖いです。これは合ってるのか不安です。ミスっても大丈夫ですよって言われるけど、 無理無理ってなります。年齢的な部分含めミスが怖い。
T ミスるしかないよ。自分のためにもミスることに慣れときたい。ミスる選択があるってことを忘れがちだよね。
F 考えながら手を動かすっていうのが、難しくてこりゃ大変だってなりました。
T 工場の話ばっかりになるけど、縫製工場に縫ってもらうときは「考えないでするようにしないといけない」のよ
F 効率化だ
T 例えば、HOZUBAG ってどっちがバッグの前後になるかってさ、一つ一つ違うの。こっちを表にした方がピンクが多くてかわいいねとか。だけど縫製工場としては前後ろ決めといてくださいって言われることが多くて、縫う人が瞬時に決めるのは大変だからね。 ミスも減らせるんだと思う。 私は大学時代の自分が在籍していたファッションコースの教室のアトリエみたいな雰囲気にかっこよさを感じてて。
F 僕は情報デザインだったので、会社みたいでしたね。
T みんな教室で制作していて、あの感じがめっちゃ好きなんよね。何してても許される感じと居場所にもなって作業もできる。あの 感じにとても憧れてる。それで、多分工場をやりたいって思ってたんだろうな。あと、みずのき美術館に働いていた時にも、福祉施設の中にアトリエを構えてて、そのアトリエもめっちゃかっこいいわけですよ。アトリエとかああいう場所に憧れがあるのかも。
F どのあたりにかっこよさを感じました?
T 作られてる途中を見てる感じがかっこよくて、すごい憧れを感じるねんな。自分もそういう場所を持ちたい。アトリエというよりは、仕事もついてきてほしいな。だから、今の工場が、もっと自由なモノを作りながらバランスを取れたら最高。
F ファッションブランドとアウトドアブランのアトリエのイメージは似てる気がします。ひらけてて誰が何をやってるかわからない けどものを作れてて話しやすい環境。
T わかる。ブランドのアトリエとかそういうイメージがあるな。いろは出版のデザイン部もかっこよかったよね。
F 不思議な熱量と、魅力がありましたよね。
T みんな作って疲れて作る感じ。
F そうですね。
T そう思うと、ずっとそういう場所にいるかもな。
F 自然と工場長になっていきましたよね。
T そうね。今思ったらデザイン部時代も同じ感じかな。卓球台でみんなで制作とかしてたよな
F 懐かしいですね。今後は、ワークショップバンバンやる予定ですか?
T これまでの内容を一新しようと思ってて、ワークショップの内容のネタをいっぱい用意しようとしてる。
F それって僕も考えたらどうなります?
T 一緒にやろう!ワークショップはやっぱり面白いよな。キッチンカーでできたら面白いなー。パラグライダーってコードもいっぱいついてるんよ。それが可愛くて、それを編んだりするのしたい。
F キッチンカーと一緒にできそうだけどなー。冬は寒いから来年ですね!
T キッチンカーで滞在時間長いって変わってておもろいな。
F 最近は謎の動きをしたくて。だから、キッチンカーで通販サイトオープンさせてみたりしました。
T 良いやん。ワークショップもやろう。春やな。
F ぜひ!
T 辰巳くんの「丹波亀吾郎」の横で出るのが一番いいんじゃない?勝手に決めちゃってるけど。
F 何はともあれ、キャップとシューズケースは製作しましょう!
T 一回マジで作らんとわからんからな。
F 失敗してもいいですからね!今日はありがとうございました!
【武田幸子さんからのお知らせ】
HOZUBAGはぜひこちらでチェックお願いします!
そして、古巣のみずのき美術館で展覧会をします!
ぜひ亀岡に遊びに来てもらえたら嬉しいです。
HOZUBAGと巡り堂による展覧会
「作業する場がある」
2024年11月8日(金)〜12月22日(日)
飛ぶ役目を終えたパラグライダーから新しいプロダクトを生み出す「HOZUBAG Mfg.」と、家庭で不要になった画材や文房具をリユースする画材循環プロジェクト「巡り堂」。京都府亀岡市で展開するこの2つのプロジェクトは、資源循環の好事例としてすでに関心が寄せられ始めていますが、プロジェクトのバックヤードといえる部分は、まだあまり知られていませんでした。
本展では、HOZUBAG Mfg.で働く人や巡り堂に集う人たちとともにある日常を、「作業」と「場」に意識を向けながらご紹介します。
また、私たちをエンパワメントする“つくる喜び”や“集う居心地”について辿っていくと、みずのき美術館の所蔵作品との関係も見えてきました。
生地、画材、写真、道具、そして画材といった複数の要素でつくりあげる、展覧会としての作業場をぜひお楽しみください。
出展:HOZUBAG Mfg. 、画材循環プロジェクト「巡り堂」
開館:金・土・日・祝 10:00〜18:00
会場:みずのき美術館(京都府亀岡市北町18)
入場料:一般400円、高大生200円、中学生以下無料
障害のある方及びその付添人(原則1名)は無料
企画チーム
企画 :奥山理子、武田幸子
共同企画 :藤井龍(SHOKKI)
写真と映像 :成田舞
宣伝美術、什器制作:西頭慶恭